できることなら危ういことには手を出さずに進みたいが,すでに状況はそれを許してくれない。死なばもろとも,デッド・オア・アライブ・ドライビング。はた目からみていたらそれほど楽しいことはないのだが…(LoL)。
1月9日からのマックワールドエキスポ/サンフランシスコでアップル社は,最高733MHzのパワーマックG4を発表すると情報ソースは述べている。それはモトローラ社の「V'Ger」G4チップを使用。ただし,マルチプロセッサは今回の製品からは除かれるようだ。また,スロットローディング式DVDとリチウムポリマーバッテリーを初めて採用し,スリムさを増した「マーキュリー」というコードネームのパワーブックも登場しそうだ。他にDVD/CD-RWドライブモデルマシン,マックOS9.1が発表される可能性が高い。
今回は度重なる業績の下方修正などに伴い(過去記事),すでにジョブズから多くの発表の前ふりがされているため,エキスポ直前の噂サイトもそれほど盛り上がっていない気がする。他には,マックOS Xの正式出荷日発表(2月22日からのマックワールドエキスポ/東京の週末24日リリースという噂が強い)なども持ち札としてはある。もちろん,いちばんの見せ物としては,廉価版キューブの発表や,パワーブック,iBookに並ぶもうひとつのポータブル製品マトリクスとなる,キューブブックか,PDAか,といったところ。ともかく,見せ場は多い。特に新ハードは,最近の価格改定による在庫一掃をみると,発表と同時に出荷の可能性も高く,待っていた人は即アップルストアにゴ〜という展開を期待できそうだ。
アップルが,99年7月に発表されていたV'Ger G4に今まで踏み切れなかったのは,やはりモトローラのチップ製造能力に対する不信感が思っているよりも強いためだ(過去記事)。現行G4出荷の初期にも十分な生産量が整わず,需要に応えられない時期が続いた。だが,アップルももう是が非で経営状態を安定化させなければいけない状態となっており,V'Gerの採用,そして,V'GerにSOI(シリコン・オン・インシュレーター)技術を組み込んだアポロチップの採用に歩みを進めるしかなくなった。これは,信用のないモトローラに対する「苦渋の選択」だ。「V'Ger」「アポロ」チップが順調に進めば,パワーブックは,アポロチップによるマルチプロセッサを採用したコードネーム「ジェミニ」まで猛進できる。やっと,パワーブックは新世紀を迎えられる,というわけだ。不安と隣り合わせの製品開発はなんとも心もとないが,当分はそれに付き合うしかない。
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